「こ・こんにちは~。私、常磐大学の細田というものなんですけれど・・・」
部屋の中にはどこかで見た顔、そう、その人は一番最初に行った時のおじさんでした。
私「こんにちは。以前来たのですが・・・清掃ボランティアをしたいのですが。」
おじさん「・・・・・・? あー以前来てくれたよね。覚えていますよ。判りました・・・・。えー、駅を清掃している水戸整備公団の所長さんを呼びますのでそこに掛けて少しお待ち下さい。」
私「・・・・はは・・はい。」
私はそこで初めて清掃をしたいっていう事がきちんと伝わっていなかったんだ・・・・という事がわかりました。(よく考えれば急にボランティアしたい!って言う人の話を鵜呑みにして周りに手配する人はいないかもしれませんよね。その人の気まぐれかもしれませんし、本気にもできないもんだと思います・・・(^_^;))
しばらく待つ事、数分間・・・。
「失礼します~。」
そこに全身ブルーの清掃着を着た小柄ながら笑顔が素敵なおじさんがやって来ました。
私もさっと立って会釈します。
そのおじさんから名刺をいただき挨拶もそうそうに、本題に入ります。
私「こ、こんにちは。私、常磐大学の細田といいます。清掃をしたくて今日はきました。」
所長「あーそうですか。それは、大変嬉しいです。掃除仕事をしたいという人はなかなかいないですから本当にありがたい限りです。」
所長「ただ・・・・。」
・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
私「ただ!?」
所長「今の所は結構な人数がいるので募集していないんですよ。社員さんも結構多いのもので・・・。」
私「・・・・・!?」
一瞬何を言っているのか良くわからなくなりました。
話の流れを良く理解してからもう一度切り返します。
私「・・・いえ、私は清掃仕事でお金が欲しいんじゃなくて、ボランティアで清掃をしてお世話になった水戸に恩返しがしたかったので今日ここに来たんです。」
所長「・・・・・・え!?・・・ボランティアで清掃ですかーそれはすばらしいですね。そうですか、勘違いしてました。ハッハッハ(笑)」
私「・・・・・。」
ここで初めて私の気持ちが伝わったようでした。(^_^;)
所長「判りました。そうしましたら一緒に行きましょう。今から事務所をご案内しますよ。」
私「本当ですか!?ありがとうございます!」
そうして、所長さんから事務所を案内していただき、私専用のホウキと帽子、腕章、軍手をいただきゴミの分別方法や清掃をしている社員さん達へ紹介までしてくれました。
その時私は心底思いました。
・・・・・・前例が無い事をやるのはたいへんだ。
良い事をやろうとしても信頼がなければやらせてもらえないんだ・・・・。
でも父の言葉を信じ、最後まで行動してよかった・・・。と
それから学校に通いながら合間を見て、週に数回ではあったけれども2年間水戸駅のゴミ拾いをさせてもらいました。
水戸駅でのゴミ拾い
当初は青い制服も貸してもらえるのかと思っていたのですが最初に渡されたのは腕章だけっだったので私服で清掃をする事になります。 正直、年が若いので声をかけられたり、ジロジロ見られたりしてビビッタ事もあったのですが(最初は恥ずかしかったので常にうつむき気味でやっていました。)でもだんだん慣れてくると「まったく隠れる必要はない!」と堂々と胸を張ってやれるようになります。
そして場所も毎日15万人以上の人が利用する水戸駅です。実際清掃中に大学の友達に会ってしまい「何やっているの!?」と聞かれることも度々ありましたが、そんな時は爽やかに「ゴミ拾いだよー(^^)一緒にやらない!?」って言うと友達は笑ってくれました。
そうやって慣れてくると視野が広がったのか!?
普段気にしないような人のしぐさや動き、普段見れないような場面に遭遇した事も沢山ありました。
その後、定期的にゴミ拾いを続ける中で、自分1人よりも何人かでゴミ拾いをした方が面白いのでは・・・!?と思うようになり、学校の友人や後輩の男女とも一緒に駅のゴミ拾いをする事になります。
特に若い女子大生がジャージ姿でゴミを拾う姿は男である私1人の時よりも、注目度が抜群に高くなります。一緒に掃除をしていると周りの人に2度見、3度見、振り返り見もよくされました。
そんな突き刺さる沢山の人の視線を受けながら
女子大生=駅でのゴミ拾い
というのは世間の目としてはかなりギャップを感じるんだなぁーとつくづく思います。
そうして少し離れた所から、一緒にやっている仲間が注目されているのを見ていると、自分の中にもいろいろな想像力が湧いてきました。
若者と掃除というアンバランスさ。
私服で駅を掃除をするアンバランスさ。
ゴミを捨てる人がいる中で、同年代もしくは自分よりも若い子が一生懸命ゴミを拾っている姿を目の当たりにしたらきっと衝撃だろうなぁ・・・。
ふと地面にゴミを捨てた瞬間にかわいい女子大生がそのゴミをサッと拾ったらドッキッとしますよね。
・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
自分1人の時は
「ゴミ拾いが楽しいって思ってやってるけれども俺の感覚って普通なのか・・・。」
という素朴な疑問もあったのですが、一緒にやってくれた友人からも
「結構・・・楽しいね」
と言ってもらえると、それはそれで自分への自信に繋がりました。
一緒にやってくれた友人の中には
「最初は恥ずかしかったけれど慣れてくると逆に注目されるのが快感だった、結構やみつきだね。」
という友達もいた位です・・・。(@_@)
注目を浴びるという意味では若者中心のゴミ拾いって面白いかもしれません。
そうしてある意味、私の水戸への思いは一つ達成された事になります。
Fax.03-6893-0930
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