私「えっ・・・・・・!?」
父「お前は大学まで行っているからどんな場所にも胸を張って仕事にいけるかもしれない。でもそういう施設に行っている子にとったら教育のバックアップが無いから職業選択の可能性が少くなるよね。」
私「ああ・・・・・。きっとそうだよね。中学卒業したらすぐ施設を出て仕事するって子供が多いって園長先生も言ってたよ。」
父「そうだろうなぁ・・・・・。そういう子供にパソコンを渡してやって将来の活力っていうか何かの興味、インターネットで見たり自分で自由に調べることができれば・・・・・きっとその子らの可能性を広げてあげられるんじゃないか。それがきっかけでパソコン関係の仕事に就く子供も居るかもしれないしさ・・・・。」
私「そうだよね・・・・・。そういうのっていいよね。」
父「お前、寄付しちゃえよ。」
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うちの父も最近、私達が卒業した中学校(当時はうちの妹がその中学校に通っていました。)にパソコンを数十台寄付していました。数年前には小学校に大型扇風機を数十台寄付しています。
町の集会場にはカラオケセットを寄付し、遺族会にも「健康な体を持っているだけでも幸せだ。」と何十年も寄付をしていたそうです。(そういう関係で感謝状を沢山頂いてきました。)
そんな行動をしてきた父から言われると・・・・・嫌だとは言えません。
ただ、寄付といっても最低パソコン3台~5台と考えると(当時1台15万~20万位はしました。)・・・・確実に今自分が持っている全預金がなくなります。
自分で寝ないで働いたお金を思うと・・・・・正直、すぐには決心がつきませんでした。
バイクの次は車を欲しいと思っていたのに・・・・・。
・・・・他の人に何十万も寄付するのか。
アルバイトを禁止されているから今後の収入の目処はたたないぞ・・・・。
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・・・・・・・・・やめる理由はいくらでも頭に浮かんできます。
そして何度も、何度も考えを改めて、改めてなんとか悟りをひらきます。
そして次の宿直日には・・・・・強い決意を秘めていました。
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細田「こんばんわー。細田です。宿直に来ました。」
事務員さん「こんばんわー。」
細田「あのー、お話があるんですが・・・・・。」
事務員さん「なんですか~!?」
細田「こ、ここに居る子供たちの為に、パソコンを寄付させて頂きたいんですけれども・・・。」
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やりとりにすると非常に短い時間でしたが、その気持ちにたどり着くまでの心中の葛藤を思うと・・・・・・正直、泣けてきます。 (;_;)
結局、事務員さんでは決められないので園長先生に聞いてから返事をもらうと伝えられました。
そして後日、事務員さんから電話がありました。
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事務員「もしもし、以前お申し入れがあったパソコン寄付の件ですが、それはどちらから、どれ位お持ちいただけるんでしょうか!?」
細田「えっ・・・・・・!?」
事務員さんの方ではどこかで余ったものを持ってくるんだと思ったようでした。
細田「あっ、いや私が新品を買って何台か寄付したいと思ったんです。中古は持っていませんので。」
事務員「えー、そうなんですか。そ、それは・・・・大変ですね。」
事務員「・・・・そうしましたら再度、園長に確認して折り返しますね。」
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・電話を切って約30分後に再度、電話が鳴ります。
事務員「パソコンの件ですが、それではこちらも申し訳ないので、今回は大丈夫ですとの事です。」
細田「そうですか・・・・・・わっ、わかりました。いろいろお手数おかけして申し訳ございませんでした。」
事務員「いえいえ、かえって気を使っていただきまして申し訳ございませんでした。」
最後の方は寄付したい気持ちの方が強かったんですが、そんな流れでごり押しするわけにもいかず、パソコンは寄付できませんでした。
でも身寄りが無い子供達に心から頑張って欲しい、自分ができる事なら協力したい・・・と悩んだ末に心から思えた事が何よりも嬉しかったのを憶えています。
Fax.03-6893-0930
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